【経理豆知識】簿記の歴史を知ると簿記の勉強が楽しくなる
経理職に就きたく、簿記の勉強を始めたけど面白くないと悩んでいる方。
勉強の気分転換に簿記の歴史を知ってみるのはいかがでしょうか。
簿記の勉強は、マニュアル通りで単調に思えて飽きてしまうこともあります。
しかし、今の複雑な簿記の仕組みがどのように作られたか気になりませんか。
仕分けをしてP/L・B/Sに機械的に数字を当てはめていますよね。簿記の歴史を知ることで今より簿記を知ることで、興味をもつことができるでしょう。
この記事では、簿記の歴史についてご紹介します。
簿記はいつ頃誕生したの?
簿記の歴史は古く、ローマ時代が起源と言われています。古代彫刻の中に簿記が彫られているのが確認されたためです。発見された簿記は単式簿記でした。単式簿記とは、収支のみを記録している簿記です。簿記の歴史は、貨幣の利用が始まった頃と考えられています。
複式簿記の誕生には諸説あります。その中でも一番有力とされているのが14世紀〜15世紀頃ベニチア(ベニス)商人が最初に利用したという話です。
複式簿記について書かれている最古の文献が、数学者ルカ・パチョーリ(Luca Pacioli・イタリア人)によって書かれた“スンマ(Summa de arithmetica, geometria, proportioni e proportionalità)”です。スンマが発表されたことで、複式簿記が一般化されました。
複式簿記が普及した理由
先に説明した通り、複式簿記は一般化される前に主に使われていたのが単式簿記です。時代が変わるごとに商売の方法も複雑化してきました。特にベネチアは、水の都と呼ばれていることからわかるように、貿易で栄えた町です。単式簿記では収支しか管理できないため、全てを管理することが難しくなりました。そのため、商売が複雑化するにつれて簿記も進化したため、複式簿記が普及しました。
複式簿記が単式簿記より優れていた理由
・収支の原因を把握できるようになった
複式簿記が、単式簿記より優れていたことは、収支の管理だけではなく収支の原因を把握することができたことです。単式簿記では、お金が「増えた」「減った」ということしか把握できませんでした。しかし複式簿記では、何が原因でお金が「増えた」のか、「減った」のか、を記録に残すことができるようになったのです。
例えば、
単式簿記の場合、「お金が1,000円減った」だけしか記録に残せません。
複式簿記の場合、「1,000円分の商品を仕入れた、からお金が1,000円減った」まで記録が可能になりました。
・(借方)(貸方)で取引を記録するため漏れを防げる
複式簿記では、収支の原因を記録するために(借方)と(貸方)に分類します。そのため、間違いなく入力をしていれば(借方)と(貸方)は一致します。最終集計を試算表で行う際、(借方)と(貸方)にズレがある場合、どこかの記録に誤りがあったということに気づくことができます。
試算表は、パズルのようにピースを埋めるように進めることが間違わないようにするためのポイントです。
日本の簿記について
日本に複式簿記が広まったのは明治時代に入ってからです。明治4年に福沢諭吉が「帳合の法」を出版された頃、「銀行簿記精法」も出版されたことにより、日本でも複式簿記の考えが広まるきっかけとなり、明治9年頃、大蔵省で複式簿記を採用しました。
今でも単式簿記は白色申告・青色申告は使用されています。そのため、会社規模によって、単式簿記または複式簿記を使い分けると良いでしょう。
簿記の分類
簿記の記帳方法は、「単式簿記」と「複式簿記」があります。
企業の経済活動で分けた場合、「商業簿記」と「工業簿記」の2つです。
商業簿記は、全ての企業で使われている一般的な会社の財務状態を把握する記帳方法
工業簿記は、商品の生産や製造に関わる会社で使わる記帳方法
です。
その他商業簿記に関しては業種によって異なる応用簿記と呼ばれる記帳方法があります。
今簿記の勉強している方が詳しく知る必要はありませんが、【豆知識】として応用簿記の存在を知っておくことはマイナスにはならないでしょう。
・農協簿記
農業協同組合で使われる簿記
・農業簿記
工業簿記のように原価計算を用いる。
・漁業簿記
漁業に直接関係のある漁場や餌代などを経費が含まれる
・家計簿
自宅で記録している家計簿も応用簿記に含まれる一つ
まとめ
この記事では、簿記初学者向けに簿記の歴史についてご紹介しました。
もし、簿記の勉強がつらくなった時は簿記の歴史を知ることで勉強に興味をもてると、
試験勉強がスムーズになること間違いなしです。