英文経理の資格「BATIC」と「IFRS検定」
経理としてのキャリアアップを考えたとき、英文経理を目指すのもひとつの選択肢です。
英文経理・会計に関わる資格としては、「BATIC」と「IFRS検定」が挙げられます。ともに国際的な会計知識を測るための検定で、どちらも「IFRS(国際財務報告基準・国際会計基準)」を共通の会計基準としています。
では、この「BATIC」と「IFRS検定」はどう違うのでしょうか?
両者の違いと、それぞれの検定について詳しく説明していきますね。
「BATIC」と「IFRS検定」の違いは?
「BATIC」「IFRS検定」のどちらもIFRSがベースとなっているのは同じですが、二者の決定的な違いは試験言語です。
「BATIC」の試験言語は英語のみですが、「IFRS検定」は日本語も選択可能となっています。
国内での知名度が高いのはどちらかというと「BATIC」で、一定以上の英語力と会計知識の両方を証明できることから、転職の際に有利となる資格として知られています。
「IFRS検定」は日本語で受検できるため、語学力のハードルを取り払って純粋にIFRSの理解度を測ることができます。また「BATIC」は国内資格ですが、「IFRS検定」は国際的に通用する資格であることが大きな特徴です。
BATIC(国際会計検定)について
「BATIC(国際会計検定)」は東京商工会議所が主催する認定試験で、英文簿記やIFRSに関する知識など国際的な会計基準の理解度を測るものです。試験はマークシートおよび記述式で、年2回国内主要都市の会場で行われています。
BATIC 3つの特徴
<B>1.試験言語が英語
BATICの試験はすべて英語で行われます。必要となる英語力の目安は、標準的なビジネスレベルとされるTOEIC750点程度とされています。
<B>2.1000点満点のスコア制
試験結果は合否ではなく、1000点満点のスコア制で受験者全員に点数の認定を行います。
取得スコアにより5段階にレベル分けがなされ、以下のように称号が付与されます。
・880〜1000 Controller Level(日商簿記1級程度)
・700〜879 Accounting Manager level(日商簿記2級程度)
・320〜699 Accountant Level(日商簿記3級程度)
・200〜319 Bookkeeper Level(日商簿記3級程度)
・0〜199 称号なし
<B>3.上位レベルには更新制度がある
上位2レベル(コントローラーレベル・アカウンティングマネジャーレベル)には3年間の認定期間が設定されています。会計基準は常に変更されているため、更新課題提出や再受験により最新の会計基準に関する理解度を確認し、認定期間を更新する制度となっています。
BATIC の試験内容
BATICは前述の通り出題はすべて英語で、試験科目はSubject1とSubject2に分かれています。Subject1は、勘定科目、手形、ディスクロージャーなどの英文簿記、Subject2は、現金預金、負債、デリバティブなどの国際会計理論となっています。
どちらもマークシート方式と記述の併用によって出題され、Subject1が400点満点、Subject2が600点満点となっています。Subject1は全受験者必須ですが、Subject2は受験者の習得レベルにより任意となっています。
Subject1は日商簿記2級レベルの知識で対応可能ですが、Subject2は簿記2級には含まれない範囲もあるため、簿記1級と2級の間くらいの難易度とされています。
IFRS検定について
「IFRS検定(国際会計基準検定:IFRS Certificate)」は、ヨーロッパで最大規模の会計士協会であるICAEW(イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)が主催する検定試験で、国際会計基準(IFRS)の広範な知識と理解力を測ることを目的としています。試験はマークシート方式で、年3回東京と大阪で行われています。
IFRS検定 3つの特徴
<B>1.日本語で受験可能
IFRS検定はグローバルな試験ですが、日本語で受験することができます。英語以外での試験実施は日本語が初であり、2009年12月から開始されました。これにより、今までハードルとなっていた語学力の壁を取り払い、純粋なIFRS知識を測ることが可能となっています。
<B>2.IFRSに特化した試験
BATICでもIFRS知識が問われますが、IFRS検定はIFRS知識を測ることに特化した試験となっており、出題範囲はIFRSおよびその前身であるIASに限定されています。
<B>3.国際的に通用する資格
IFRS検定は国際的な会計士協会ICAEWにより世界各国で行われている試験であり、合格すればグローバルに通用する資格を手に入れることができます。
IFRS検定の試験内容
試験は全問マークシート形式です。ビジネスの現場でIFRSを適用する能力、またさまざまな場面においてIFRSの基本的な要件を検討する能力が問われます。正答率60%以上で合格となり、合格率は概ね50〜60%台となっています。
まとめ:英文経理を目指すなら、ぜひチャレンジを
グローバル化が進む中で、国際的な基準を理解し、業務を進めることができる人材の需要はますます高まっています。
そんな中で、英文経理に関わる資格としてよく比較される両者ですが、知名度という点では「BATIC」にやや軍配が上がるのが現状です。しかし、IFRSが世界中に広く取り入れられ、日本でも適用企業が右肩上がりで増える中、IFRS検定も将来性のある資格として注目を集めつつあります。
「BATIC」と「IFRS検定」。経理としてのキャリアアップを目指すなら、両者の特徴をよく理解したうえで、受験を検討してみてはいかがでしょうか。