経理書類の保管方法、保管期限は?

経理書類の保管方法、保管期限は?

経理の業務を日々行っていると、たくさんの経理書類が溜まっていきます。経理書類はそのほとんどが「会社法」や「法人税法」で保管期間が定められており、経理書類の保管も経理の重要な仕事であると言えるでしょう。経理書類は様々な分類の書類がある上に、同じ分類の書類であっても法律によっては保存期間が異なります。今回は保管期間の長い経理書類の保管期間と、その保管方法について詳しく説明していきます。

各経理書類の保存期間は?

各経理書類の保存期間は、「会社法」と「法人税法」の2つの法で定められています。「会社法」は株主と債権者の保護を目的とした法であり、作成した計算書類はこれらの利害関係者が利用します。会社法で定められる書類の保存期間は原則的に10年間です。「法人税法」は会社が支払う法人税の納付義務などを定めた法であり、作成した申告書などは税務当局が利用します。法人税法で定められる書類は原則的に7年間保存する必要があります。会社法と法人税法のどちらでも保存期間が定められている書類は、保存期間の長い会社法を基準に保存していくのが良いでしょう。ここでは、保存期間ごとに分けて詳しく各経理書類について説明していきます。

7年

法人税法の対象となる書類は、原則として7年間の保存が必要となります。対象となる書類は決算に関して作成され、会社法に該当しない書類や取引証憑書類などです。決算書や帳簿の保存期間は法人税法では7年間と規定されていますが、決算書は会社法の「決算書」に、帳簿は会社法の「会計帳簿」に該当し10年間の保存が必要であるため、保存期間10年で記載しています。また、平成28年度の税制改正で平成30年4月1日以降に欠損金が発生した場合、法人税法でも帳簿の保管期間が10年に延長されるため、帳簿は10年保存すると覚えておくと間違いがないでしょう。保存期間の起算日は原則的に書類の作成日または受領日に設定されています。7年保管の書類の具体例を以下に示します。
・契約書
・注文書
・請求書
・領収書
・通帳
・棚卸表

10年

会社法の対象となる書類は、原則として10年間の保存が必要となります。対象となる書類は決算書や帳簿、事業関連書類です。保存期間の起算日は原則的に書類の作成日または受領日であり、帳簿に関しては決算の締め切り日が設定されています。10年保管の書類の具体定を以下に示します。
・決算書 (賃貸対照表、損益計算書)
・総勘定元帳
・現金出納帳
・固定資産台帳
・売掛金元帳
・買掛金元帳
・売上帳
・仕入帳
・株式資本等変動計算書

保存方法

経理書類の保存期間を確認したところで、次は保管方法について見ていきましょう。経理書類は紙での保存が原則とされていますが、一定の条件を満たせば紙以外での保存も可能となります。条件をよく理解して、それぞれの経理書類を適切に保管していくことが大切です。

原則は紙保存

経理書類は原則として、紙での保存が求められます。特に法人税法に関わる帳簿などの書類は原本保存を行う必要があるため、紙での保存が必要です。パソコンで作成した帳簿書類であっても、原則としてプリントアウトして紙として保存する必要があると覚えておきましょう。

マイクロフィルム保存

帳簿書類は紙による保存が原則とされていますが、保存期間が6年目以降となった帳簿書類はマイクロフィルムによる保存が可能となります。ただし、マイクロフィルムによる保存を行う場合は、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダまたはマイクロフィルムリーダプリンタが必要です。また、マイクロフィルム保存を行う場合あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。この申請書は利用を開始する日の3か月前までに提出する必要があります。

電磁的記録(データ)保存

電子データによって最初の記録段階から一貫してパソコンを使用して作成する帳簿書類は、一定の要件を満たせばサーバ・DVD・CDといった電子的記録 (データ) のまま保存することが認められています。ただし、電子データによる保存には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は利用を開始する日の3か月前までに提出する必要があります。

スキャナ保存可能な書類

電子データによる保存に関して、一定の書類に関してはスキャナ読込での電子データ保存が認められています。この場合もあらかじめ所轄税務署長に対して利用を開始する日の3か月前までに申請書を提出し、承認を受ける必要があります。また、帳簿に関してはスキャナ読込での電子データ保存が認められていないため注意が必要です。スキャナ読込での電子データ保存が可能な書類は以下の通りです。
・棚卸表、賃貸対照表および損益計算書ならびに計算、整理または決算に関して作成された その他の書類
・取引の相手方から受け取った契約書、領収書などおよび自己の作成したこれらの写し

まとめ

経理書類は分類や関係する法によって保存期間や保存方法が異なります。膨大な書類がある中で管理をしていくことは大変ではありますが、整理をしておくことで後々の業務がスムーズに進むでしょう。特に経理書類は会社にとって非常に重要な書類ですので、定められた保存期間や保存方法を把握しそれに従って整理していくことを心がけてください。

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