チェックポイントは6つ。すべて確実にチェックしよう!
経理をはじめどの部門でも、普段から目にする機会の多い領収書。経理職にとっては、領収書のチェックは日常業務のひとつですね。
毎日毎日目にしているから、ついチェックも流れ作業になりがち…なんていうことはないでしょうか?
今回は改めて、領収書の確認ポイントをおさらいしていきましょう。
領収書はなぜ必要?
領収書は、買い手と売り手が「料金を支払った(買った)」「料金を受け取った(売った)」ということをお互いに確認するために、売り手側が発行する書類です。
経理においては、領収書などの「取引があったことを証明する書類」を「原始証憑(げんししょうひょう)」といいます。これらに基づいて、最終的に決算書や税務申告書などが作成されることになります。「取引があった」ということを証明する役割を持つ領収書は、決算書などの重要書類の信用性を裏付けるための大切な書類なのです。
また、領収書は経費支出の証拠としてだけでなく、消費税計算における仕入税額控除の根拠となる書類でもあります。法人税だけでなく、消費税計算の面からも重要な書類となります。
領収書によって経費や仕入税額控除が変わるということは、領収書は「金券」であるともいえますね。お金と同様に、領収書の管理が重要であることがおわかりいただけると思います。
領収書のチェックポイント6つ
領収書の形式は、特に法律などで決められたものはありません。ただし、これだけは記載しておかなければならないという以下6つの事項があります。
- 日付
支払った日付で発行してもらうことが原則です。月日だけでなく、「令和○年」や「20XX年」と、年が記載されていることも確認しましょう。 - 宛名
本来は宛名が必須ですが、レシートのように宛名が記載されないものもあるため、例外として宛名がなくても認められます。領収書の発行側が宛名を書き間違えたり、書き忘れたりしていても、内容が推定できればOKです。
レシートは、宛名以外の5項目がすべて記載されていれば領収書として認められます。ただし、高額な取引の場合は、トラブルを避けるためにも宛名を記載してもらう方がよいでしょう。 - 金額
金額の改ざんを防ぐため、金額の前に「¥」「金」、金額の後に「ー」「也」「※」を書きます。さらに、3桁ごとに「,(カンマ)」を入れておけば、桁数を増やすなどの不正も防げます。経理としては特によく確認しておきたい項目です。 - 但し書き(支出内容)
支出内容が重要なので、「お品代」は基本的にNGです。これでは、仕訳もすることができませんよね。経理処理をスムーズに行うためには、領収書を受け取った側が「具体的な物品名(購入商品名)」や「使用目的」、飲食代などであれば「参加者」「人数」などを残しておくよう周知しておくとよいでしょう。 - 会社名と所在地
領収書を発行した側の会社の正式名称と、所在地が正確に記載されているかを確認します。社印は認印の有無もチェックしましょう。 - 収入印紙と割印
印紙税法により、5万円以上の領収書には収入印紙が必要です。ただし額面金額のうち、消費税額が明確に区分して記載されており、かつ税抜の金額が5万円未満の場合は不要です。
印紙の貼付義務は領収書の発行者側にあるので、印紙の貼付や割印がなくても領収書としては認められます。不備のペナルティは発行者側が負うことになります。
「領収書をなくした」と言われたら…?
経理担当者なら、「領収書をなくした」と言われたことが一度や二度はあるかもしれません。その場合、原則として以下のような書類があれば、領収書の代わりとして認められます。
- ATMの振込明細や通帳の記録
- クレジットカードの利用明細
- ネット通販の購入確認メール(商品同梱の納品書はNG!)
- 会費記載のパーティーの招待状、香典袋等の表書きのコピーなど
手書きのメモや出金伝票はどうでしょうか?
これらは本来、領収書を受け取ることが難しい支出に用いられるものです。例えば、電車代やバス代、自動販売機での会議用の飲み物の購入、慶弔に際してお金を渡したような場合などですね。
手書きのメモや出金伝票を領収書の代わりとして利用するのは「最終手段」であるということは覚えておきましょう。税務調査などで手書きのメモが大量に見つかったら、「何かあるのでは?」と疑われてしまいますよね。
なお、社内規定として「領収書がない場合は経費として認めない」などと定められている場合は、当然ながら手書きメモなどは認められません。こうしたルールがあってもなくても、普段から領収書やレシートの重要性を社内各部門に伝えておくのが大切ですね。
まとめ:「支払い事実を証明する重要書類」と心に留めて!
領収書やレシートは普段から目にしているありふれた書類ですが、実は、決算書や税務申告書の根拠となる大切な書類です。
締め日近くには領収書の山にうんざりしてしまうこともあるかもしれませんが、上記のチェックポイントと領収書の重要性を頭に入れて、気を引き締めて確認業務にあたりましょう!